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【密林城撃破後】 |
「根の一族に…栄光を…」 息絶えた菊五郎は、みるみるうちに蒸発していった。 遂に菊五郎を倒した火の勇者・卍丸とカブキ。 「へっ!これでジパング一の伊達男がどっちかハッキリしたなぁ! ジパング一の伊達男は、このカブキ団十郎様だぁーーー!!!!! ハッハッハッハ!!!!」 まだ根に持っていたカブキが、高らかに勝利宣言。 「あ!聖剣だ!」 菊五郎の居た場所に聖剣が現れた。 当然のように卍丸が取ろうとすると… 「おいこら!卍丸!俺様の聖剣にさわんじゃねーよ!」 怒鳴るカブキ。だが卍丸も黙っていない。 「なんだよ!?別に誰のとか無いだろ!」 「うるせーうるせーうるせー!誰にモノ言ってんだ!? 聖剣はカッコイイ方が持つ事に決まってんだろ!! 田舎モンは黙って見てろ!オラどけどけ!」 強引に卍丸を押しのけて聖剣に近づくカブキ。 聖剣を手にしたカッコイイ自分を想像しつつ、 ニヤニヤと聖剣を手にしようとするが… バチィッ!! カブキの笑顔が凍りついた。何かに手を弾かれたのだ。 電撃が走るような痛みを受けつつ、 格好つけた卍丸の手前、声を押し殺すカブキ。 だが卍丸も気付く。 「ん?どうしたんだ?早くもってこいよ〜」 「うるっせーな!俺様に指図するなっつってんだろ!」 バチバチバチバチバチバチ!!!!! 「う…ぐが…!!!」 流石のカブキももうどうにもならない。 卍丸は聖剣は任せてもう帰り支度。 「お…おい!卍丸!…お前が聖剣を持てよ…」 威勢無くつぶやくカブキ。 「え?なんだ?どうかしたか?」 「っだから!お前は俺の言う事聞きゃーいんだよ!さっさとしろ! こうしてる間にも俺様のカワイイ女供が苦しんでんだ!」 「ったく…なんなんだよ…自分が持つって言ったり持てって言ったり…」 卍丸も愚痴をこぼすが、 カブキは痛みをこらえるのを隠すので手一杯だった。 (「へっ…お前も電撃くらいやがれ…!」) 妙な逆恨みに燃えるカブキ。 スッ 難なく卍丸は聖剣を手にしてしまった。 「な…!」 思わず声をもらし、呆気にとられるカブキ。 無事、聖剣に宿るカラスの魂から、 剣法「黒羽斬」を授かった卍丸は、 呆けているカブキに気付いた。 「ん?どうした?」 「へ…へっへっへ…ハーッハッハッハ!」 「ど、どうしたんだよ?」 「へんっ!まぁ大将の俺様が荷物を持つなんてのは おかしいんだよな!卍丸!お前に刀持ちを任せてやるぜ! 有難く思え!ガーッハッハッハ!」 「な!何言って…!…ったく、もういいよ」 もう言い返すのも面倒になってきた卍丸。 大人しく妙院カラスを収める。 「オラ!ぐずぐずすんな!暗黒ランをぶったぎりに行くぜ!」 早速、伊勢神宮の暗黒ランに到着した卍丸とカブキ。 「フン…まぁ本来なら……ってコラ!何してやがるんだ!」 口上を決めようとしていたカブキへ聖剣を差し出した卍丸に、 驚いて飛びのくカブキ。 「え?いや、どうせ”おいこら〜!まんじまる〜! おれさまがぶったぎるんだぁ〜!”とか言うと思ってさ」 「(あぶねーなーまたビリビリしたらどうすんだ!) っだから!まぁ本来ならそうするところだがな、 こんなだーれも見物人が居ないとこで俺様がぶったぎったって しょうがねぇだろうが!ここはお前にやらせてやるぜ!」 「あ…そう?」 ちょっと拍子抜けする卍丸。 まぁ面倒が無くて良かった。 「ただし!暗黒ランはおれさまがぶったぎったことにしておけよ!」 「はいはい…」 ズバァー! 聖剣・妙院カラスで暗黒ランを無事封印。 巨大な花は見る影も無くなった。 「よっしゃ!それでこそ俺様の子分だぜ!はっはっは!」 (「まったく面倒なやつだな…」) 開通した北の峠を抜け、一行は京を目指すのだった… あとがき カブキは仲間になると、とたんにおとなしくなります。 初めて聖剣を見た時、暗黒ランを切る時に、 カブキがその大役を黙って卍丸に譲るのは おかしいんじゃないか?と私は思ったわけで、 その時のやりとりです。 一度これをやっておけば、その後もカブキが黙っているわけが なんとか説明がつきそう。 参考考察 ・卍丸だけが聖剣を扱えるわけ |