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【浪華の火の玉小僧!鳥居堂三郎誕生】#01 |
これは三郎が、いかにして火の勇者となったのかをつづるお話―。 ――今(ゲームスタート時のこと)より千年と少し前の浪華。 青く輝く綺麗な海が広がり、活気ある港町は、ここの大地主・鳥居正之助からとって鳥居町と呼ばれていた。 そんな鳥居町の中央、立派な垣根に囲まれた鳥居家の大屋敷では、今日もまた修練場の辺りでお決まりの光景が繰り広げられていた…。 「「止まれ! 三郎!」」 長男・一郎、次男・二郎による三男・三郎の追いかけっこだ。 「鳥居家の男子たるもの、武道に励まんで何とする!」 一郎は今や全国に名を馳せる、父譲りの剣豪であり、三郎の武道教育を任されていた。 「いや! 今日は数学だ! もう課題がいくつもたまってるんだから!」 二郎は学問に長けた天才で、鳥居家の商売にも多大な貢献をしていて、兄と同様に三郎への学問教育を任されていた。 「やーだよ! ンベー」 憎たらしい顔で兄達を小馬鹿にして走る三郎は、両親や兄弟と比べても、七歳にして二尺六寸ほど(約80cm)と一回り小さく、 武道も学問も苦手な落ちこぼれであったが、みんなに好かれる明るく元気な少年だった。 二人の兄は懸命に走るが、なかなか三郎を捕まえる事が出来ない。 毎朝のこのやりとりで、三郎の逃げ足だけはすっかり鍛えられていた。 「へへーん! 捕まえてみな〜! ベロベロ〜アイタッ!」 三郎は兄達をからかうためによそ見をしていた隙に、建物の曲がり角から現れた誰かに衝突し転倒した。 「イッテテ…あ! 母ちゃん! 助けて〜」 「毎朝毎朝…よ〜くあんたたちは飽きないね!」 三郎が見上げた先には母が呆れた顔で立っていた。洗濯物を干しに来た所のようだ。 三郎は母の後ろにひょいと隠れて、顔を半分だけ出し、兄達の様子を伺っている。 「母上いいところに! 三郎を捕まえて下さい!」 「う〜ん…。もういいんじゃないかい?」 「何がです?」 「三郎? あんた稽古初めてどのくらいになる?」 「んー二年くらいかな?」 「そうだねぇ。で、一郎? 三郎は見込みあるかい?」 「……いや」 「だろう? 三郎には他にやること…やれることがあるよきっと」 「しかし来る戦乱に備えねば…」 「火の一族といっても色々さ。三郎には別の役目があるのさ」 「うーむ…」 「ほら! 三郎! 遊んできな! 昨日は友達連れて来なかったろ? 今日は新しい子連れてきな!」 「うん!」 三郎は元気に外へかけだしていったが、一郎と二郎は不安そうに母を見つめていた。 「大丈夫だって! あの子の才能は…きっと友達を作る事だよ! いっぱいいっぱい友達作って…その友達がきっと三郎を助けてくれるのさ」 「ほんまかいな…」 いつも楽観的で大雑把な母の発言だけに、二人の不安がおさまることは無かった。 外へ出て行った三郎は、家の裏にある小高い山を登っていた。 そこからは町の景色が一望出来る。 行く先が特にない場合、ここから当たりをつけてから行くのが三郎のやり方だった。 「さ〜て、今日はどこへ行くかな…」 色々ないたずらに考えを巡らせながら町を眺める。その時三郎の目に、あるものが見えた。 すぐ近くの木の根元が、なにやら盛り上がってきている…。 「モグラに違いない」そう思った三郎は、適当な木の棒を拾い、 モコモコと盛り上がってくる土の前で大きく振りかぶって、何かが出てくるのを待った。 「さぁ〜…出て来い…出て来い…畑を荒らすモグラめ〜オイラがこらしめてやるぞ!」 盛り上がっていた土の間から、何かが出てきたその瞬間! 三郎が木の棒を思いっきり振り下ろした。木の棒は見事何かに命中! だが、モグラにしては手ごたえがあり過ぎる事に、三郎は違和感を覚えた。 「モグラじゃない…? …ん? …人!? あちゃーこりゃしまった!」 土から出てきたのは、なんと子供だった。一帯ではまったく見かけぬ変わった子供だった…。 ――つづく あとがき 人生初の長編とでもいいましょうか。本当に私は小説とかさっぱり読まない事をご理解下さい。 どう考えても「サラっと読む」という程度の文章では入りきらないのと、 とんでもない長文を飽きることなく読ませるほどの文才が無いのと、 完成するまでにかかる時間が半端無く、外見上の更新が全く無くなってしまうというわけで、 「週刊連載」をイメージして小出しにすることにしました。 基本的に「オリジナルキャラを出さない」としたかったんですが(後々の考察などで修正が入る可能性があり、面倒臭い) どうしても出さない事には話が進まないかな〜ということで出してしまってます。 父の「正之助」というのは、兄弟を一、二、三…と順番にしてある所から、 カウントする時に正の字を書いていく方法から連想しました。 さすがに「零郎」じゃ変だと思って。兄弟も太郎、次郎かなとも思いましたが、 ベッタベタな名前のがわかりやすくていいだろうということで一郎、二郎にしました。 男兄弟にしたのもわかりやすいからです。 母の名前は考えてません。出さないといけなくなったら考えます。 苗字を「鳥居」にしたのは、三郎の聖剣製作所「鳥居堂」からです。 この鳥居堂は、イヒカの民が破壊してしまったそうです。 これはつまり、「イヒカの民が鳥居堂を作った」と考えていいでしょう。 火の一族が作ったものを、勝手に壊すわけがありません。 で、「恩人・鳥居様のお堂」=「鳥居堂」と聖域に名前を付けた、 そして聖剣の名前になった、と考えました。 また、今の神戸という町の名前は、三郎の亡骸の頭部分を弔った場所?だから「頭(こうべ)」という名前にしたと言われています。 この頃の町の名前は違うという事と、三郎の父が結構すごい地主だった事を強調出来るかなと思い、 鳥居町としました。そもそもなぜ三郎の父がすごい地主という設定なのか?ということですが、 「三郎がイヒカの民に浪華の土地を分け与えた」という事実があるため、 父にそのくらいの力がないとそれが出来ないんじゃないかと考えたからです。 三郎の年齢を七歳としたのはなんとなくです。キャラの年齢はちょっと若すぎるかな?くらいで丁度いいのかなと。 身長は奈良時代くらいの成人平均が160くらいあったらしいので80cmくらいにしましたが…もっと小さくていいかな? 対比図との関係で、今後変わるかもしれません。 さて、時代考証?としては、年表のページにもある通り、「天外魔境Iが西暦1700年代であること」 「天外魔境IIは天外魔境Iから数年後であること」そしてそこから約千年前ということで、 西暦700年代の日本をイメージしたジパングとなっています。 ギャグで出す事はあるかもしれませんが、極力英語は避けるつもりでいます。 ダメージとかオッケー!とかついつい使いそうになりますけど。 ゲーム本編ではかなり英語使ってますけど、千年前ですからねぇ。 また、日本語も厳密に言えば現在とは違い、西暦700年頃には無い漢字、言葉などがいっぱいあったり、 そもそも話し方などがまったく違うなどありますが、 そこまでやったら読みにくいだけなので、その人物のキャラでない限り、日本語は現代っぽくいきます。 多少の外来語なんかも大目に見て下さい。ジパングってそういう世界じゃないですか。ね。 あと、個人的に情景描写や心理描写なんて難しいというのと、 天外魔境自体が会話主体で進んでいくもの(という私のイメージ)だと思うので、 基本的に説明的な部分は省いて、会話の中からそういう景色が見えたらいいかなという感じで書いて参ります。 |