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【浪華の火の玉小僧!鳥居堂三郎誕生】#04 |
――あらすじ―― いつも明るい両親が神妙な顔で家族を招集。鳥居家の家族会議が始まった。 父は兄弟を前に、ゆっくりと話し始めた。 「一郎と二郎には言ってあったが、三郎には初めてになるな。 少々早い気もするが、事が事だ。いよいよ戦が始まる。長い戦いだ」 「始まるんですね…」 父も母も兄二人も暗い顔をしている。戦といえば、絶えずそこいらの大名が小競り合いを起こしている。 そう珍しい話でもないように三郎には思えた。 「詳細は母さんが話してくれる」 火の一族の女性の多くには、その力の程度こそあれ予知能力が備わっている。 三郎の母もその一人だった。 「さっき夕飯の支度をしていたら…水の中に映ったの。 人ならぬ人が大挙して攻めて来る…。その力凄まじく…人という人…あらゆる種族、 全ての生物を巻き込む長き戦いとなる…」 「以前より見える情報がはっきりしてきた。いよいよ戦は近いということなのだろう。 マリ様のお導きでこの地へ移り住んで数年… 俺はこれから、近江へ戻ってマリ様に会ってこようと思っておる」 「マリ様は私なんかより先を見通す目をお持ちだからね。今ならもうはっきりとわかっていることでしょう」 「家の事はお任せ下さい」 「うむ。頼りにしておるぞ。俺もすぐ帰る」 「いいな〜。オイラも一度火の都ってとこにいってみてーよ〜」 「そうか、三郎は浪華で生まれたからな…戦が始まってしまったら帰ってゆっくりするというわけにもいくまい…。 それじゃあ予定を変えてみんなで戻るか!」 「やったー!」 「浮かれるなよ三郎。遊びに行くわけではない」 「う…うん…でもさ、その戦っていつ始まるの? みんな戦わなきゃいけねーのか?」 「いつかはまだわからん。だが近い。俺も当然戦うことになるだろう」 「母さんもよ」 「母ちゃんも!? そんな…危ねぇじゃんか!」 「…三郎。火の一族は特別な力がある。マリ様のご加護のお陰でな。 その力はみんなのために使わなければならん。それがこの戦なのだ。 その昔、坂東で誰もかなわぬ鬼族のマサカドを封じたのも火の一族なんだぞ?」 「三郎…あんたはよく知らないかもしれないけどね、 母ちゃんこれでも術に関しちゃ〜右に出る者はいないんだよ? 伊達に術の先生やってないよ! 心配要らないさ」 「勝つよね? 勝ってよ!」 「当たり前だろ! さて! ご飯にしましょう」 ――キラリンは黄泉平に無事到着していた。 ネロから勢い良く飛び出てきたキラリンは華麗に着地を決めた。 「あいあい〜お疲れ様でした〜」 「…ふむ。帰りは問題無いようですね。壁から飛び出るてくるのは少々着地に慣れが必要か…」 「キラリン様〜お帰りなさ〜い! 何か問題ありました?」 「…うむ、ちょっとね。要点は書き留めてあるから、清書して生体へ報告してください」 「ハ〜イ。浪華は? 地上はどうでした〜?」 「…うん。友達が出来た」 「友達ィ? なんですかそれ〜アハハハ」 ――つづく あとがき それなりに布石が色々埋め込んである回。 母の予知は「突発的に水面に未来の景色が映る」という感じにしてみました。 火の女性ごとに未来の見え方、見方、感じ方が違う…っていう感じの設定にしました。 揺らめく炎の中に見えるだとか、夢に見るとか、自動書記で未来を書き出す…とか。 なんか色々あった方が面白いかなと思って。 また、そうやって「予知を制御出来ない」ようにすることで、 「普通に見えちゃってる」感じのある絹の予知能力のレベルの高さをも表現出来るんじゃないかなと。 |