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【浪華の火の玉小僧!鳥居堂三郎誕生】#07 |
――あらすじ―― マリへの無礼な態度を取ったため父に殴られ、宿へと帰された三郎だった。 二郎は三郎の手を引きながら早足で歩く。 「兄ちゃん、はえーよ〜もうちょっとゆっくり歩こうよー」 「うるさい! この馬鹿者! マリ様になんて無礼な事を!」 「何が悪いんだよ〜」 「礼儀だけでも教えておくべきだった…うぅ」 やっと宿泊している宿へ着くと、一郎と母はすでに宿に居た。 「あれ? 兄ちゃんも母ちゃんも買い物まだ行ってないの? 何か買ったようには見えねーけど」 「うーん。やっぱりちょっと買い物してる気になれなくってね」 「というわけだ。マリ様とは会えたか? どうだった?」 「聞いてくださいよ! こいつマリ様に…」 それから神殿であったことを話して時が過ぎていった。 ――昼ご飯も食べて、昼寝でもするかという時、正之助が帰ってきた。 「よう! 帰ったぞ! 早速で悪いがすぐに浪華へ帰る!」 「え? マリ様は何をおっしゃったの?」 「それは帰りながら話す! さあ、すぐ支度するんだ」 みんな大慌てで帰り支度を済ませ、すぐ帰路についた。 「もうちょっとゆっくりしたかったな〜…」 「三郎…おんぶしてやろうか? 火の都まで頑張ったからね」 「え? …うん!」 戦が始まったらもう三郎と触れ合う事すら難しくなる。 そう思うと母は三郎が愛しくてたまらなかった。 久々の母の背中で三郎は寝てしまった。 「マリ様はなんて?」 「うむ。やはり戦は始まる。敵は”根の一族”というらしい」 「”根の一族”…?」 ――それから、途中の宿までの間に、 マリと共に来たヨミが根の一族を作った事、 根の一族こそが最も強い命であることを証明するために戦争を仕掛けてくる事、 つまり他の生物の根絶または支配が戦争の目的である事、 ヨミとの決戦に備えてマリが休眠に入る事などを伝えた。 「マリ様のお力には頼れないのね…」 「会話くらいは出来ると思うがな…」 「所で父上、なぜ急ぎ浪華へ?」 「おお! そうだそうだ! 我らは出雲へ行く事になった」 「出雲? なぜまた」 「どうも出雲が重要な戦術拠点になるらしい。浪華での成功を買われてな。 俺が出雲で砦の建設を任されたのだ。お前たちにも協力してもらうぞ」 「なるほど…そういうことでしたか」 「帰ったら準備やご近所の方々への説明など…色々大変だ。頑張ろう」 「はい!」 ――つづく あとがき 三郎の話なのに三郎がまったく出ない。 大事なのは三郎が寝ていたために、敵の話をまったく聞いていない事。 マリが休眠に入るのは、マリが起きていたからです(「マリは眠りについたのか」参照)。 マリもマリなりに力を消費していたため、完全復活するヨミに対抗すべく力を蓄えるという目的があります。 開戦後にマリも眠らせておかないと、火の一族の出る幕がなくなってしまうので、そういう考えに至りました。 |