|
【浪華の火の玉小僧!鳥居堂三郎誕生】#09 |
――あらすじ―― 三郎はみんなと友達になってやる!という方法で戦う事に決める。 そして丁度来ていたキラリンの住んでいる場所へ遊びに行く事に。 ――三郎とキラリンは出雲の黄泉平へ向かってネロの中を進行中…。 「あいあい、もうすぐ到着しますだよ〜」 ネロの中を進行中、前を進む三郎へ注意点を叫んで知らせるキラリン。 「…三郎殿! 今の所、出口は壁面からしかありません! 結構良い速度で飛び出すので、着地にはお気をつけて…!」 「おーう。しかしこれぐっしょぐしょだけど…」 「…大丈夫! 空気に触れるとすぐ乾きます! さぁ出ますよ!」 微妙に光を感じたと思った途端、びゅるびゅると緑の液体と共に大きな空洞の中へ飛び出した。 「おぉおぉ〜!? ぐへっ! いてて………んぎゃあ!」 三郎は注意されていたにもかかわらず着地に失敗し、さらにその上にキラリンが着地してしまった。 「…着地に失敗しましたか…。でもうまく着地出来ていたとしてもこれでは大量の人を転送する際に衝突しかねないですね。 新たな問題発見です。ご協力ありがとう」 「ぐぐ…何言ってんだかわかんねーけど…早く降りてくれ!」 「…おっと、申し訳ない。私の研究室はこっちです。ここはまだ未整備ですので、足元に気をつけてついてきてください。 あ、あと三郎殿は私の新しい助手ってことにしておいてくださいね」 「ジョシュ?」 「…私の仕事のお手伝いをする役目の人のことです」 「あぁ、わかったよ〜。てかなんか仕事してるんだなー偉いなー!」 所々に行灯があるものの、まだまだ薄暗い洞窟を進んでいった。 「うわ〜…なんだかワクワクするな〜秘密基地みたいだ〜」 五分ほど歩いたところで、土むき出しの洞窟内が、 次第に金属製の板で覆われているようになってきて、それからすぐに金属製の扉が現れた。 キラリンは扉を開けて、三郎を扉の奥へ誘った。 「…さぁ、ここです。ようこそ、私の研究室へ」 「お〜! …なんだこりゃ?」 部屋の中は薄暗く、部屋を埋め尽くすように箱が積み上げられていた。 「…あぁ、ここは試作品などの一時保管室なので…。とりあえず書斎に行きましょうか」 一時保管室を出て書斎へ向かう。もう書斎の前だったのだが、男女の話し声が聞こえた。 「…おや? この声は…予約は無かったはずですが」 キラリンはコンコンと扉を叩いてから書斎へ入った。 「…今帰りました」 書斎では助手のソーラと真っ黒な男が椅子に座って話していた。 二人はキラリンに気づいて立ち上がった。 「…やはり黒天王様。今日は面会のご予約は無かったと記憶していましたが」 「いやいや、申し訳ない。ふと様子を見たくなって来てしまったのだ。いないようなので帰ろうかと思っていた所だ」 「キラリン様おかえりなさ〜い。予約も無いしキラリン様もいないしで、 黒天王様には帰っていただこうと思ってた所だったんですー。 ずいぶん早いお帰りでしたね。夜になると言ってたのに〜。あら? それ誰…」 「…うむ。ソーラさん、ちょっと」 ソーラが三郎の存在に気づいたのを察知し、キラリンは話をさえぎってソーラを呼び寄せると、ひそひそと話し始めた。 「…いいですか。友達の三郎殿を連れてきたんですが…私の新しい助手ということで口裏を合わせてください」 「アラアラこの子が…はいはぁ〜い」 「…さて、三郎ど…君…ん? どこだ?」 三郎を二人に紹介しようとしたが、隣に三郎が見当たらない。辺りを伺うと黒天王と呼ばれた人のそばにいた。 黒天王は全身が羽毛に覆われ、鳥のクチバシがあり、それら全てが真っ黒だった。 そんな黒天王をじろじろとなめまわすように見まわした後…。 「ん? なんだ? この小僧は」 「うわぁ〜…… おっちゃんカラスみてぇだな!」 一瞬空気が凍りつく。キラリンも三郎の突然の無礼に言葉を失った。 「フフフ…カァッカッカッカ! なんだこの小僧は? そうだな。俺はカラスだな。カッカッカ!」 「…も、申し訳ございません! 黒天王様! この者は私の新しい助手でして…」 「オイラ三郎! おっちゃんも友達になんねぇか?」 「友達? カッカッカ! よかろうよかろう。俺の名は…今は黒天王などと呼ばれている。よろしくな三郎!」 三郎が右手を差し出すと、黒天王は握手した。 「…申し訳ございません。黒天王様」 「ん? なぁに気にするな。戦闘員とイヒカはほぼ断絶状態だ。 俺の事を知らん子供がいても不思議じゃない。哀しい事だがな」 「…雪丸様に会われていきますか?」 「あぁ、いいかな?」 キラリンはそっと三郎に近寄って耳打ちした。 「…三郎殿、ちょっと待っていてください。この娘はソーラという私の助手です。ソーラさん、三郎君をよろしく」 「はぁ〜い」 「…では黒天王様参りましょう」 「すまんな三郎。またな」 キラリンは黒天王と共に書斎を出て行った。 「あのおっちゃん偉いのか? キラリンすげぇビビってたぞ〜」 「あーんたねぇ! 偉いなんてもんじゃないっての。 法撃隊兼天空部門大将にして総合戦士大将! 総大将よ? 私もさすがにビビったわー! あんなこと言うなんて」 「何が?」 「”カラス”っていうのはあの人への悪口みたいなもんなのよ」 「へぇ〜キラリンには悪い事したかなぁ」 「まぁ黒天王様はいい人だから平気でしょ。 キラリン様とはちょっとした事情で秘密を共有する仲間だし…」 「ふ〜ん。ソーラって肌が緑だし、キラリンの仲間だろ? 背高いなー! キラリンが小せぇのかな」 「ん? ん〜まぁね! 惚れちゃダメよ〜? 面会だからしばらくかかると思うんだけど…お茶でも飲む? …アレ? アレアレ!? 三郎君!?」 三郎にお茶でも出そうと目を離したスキに、ソーラは三郎を見失ってしまった。 三郎は目にうつる様々な見知らぬものに引き寄せられて、 部屋をうろつくだけにとどまらず、部屋を出てどこかへ行ってしまっていた。 「おぉ〜スッゲー! ここ本当に地下かー!?」 書斎を出ると、果てしなく広大な空間に、数々の建造物が立ち並び、 上には太陽に似た光が輝いていた。 「おーい三郎君!? どこー? まったくもー」 ――つづく あとがき わかると思いますが、黒天王(コクテンオウ)という人は後のカラスです。 根の一族でありながら火の勇者と肩を並べるほどの人物であるとすれば、 このぐらいの要職にいてもよかったんじゃないかと。 何も戦闘部門のトップである必要はないかとも思いますが、一応今後の展開でそのへんの地位が関係してきます。 細かく設定してませんが、たとえば術を専門にする部隊だとか、海専門、空専門など、色んな部隊があって、 それらの大将をさらにまとめる大将だと思ってください。戦闘部門のトップです。 戦闘部門の…ということは、戦闘以外の作戦本部みたいなのが別にあって、 例えば三博士みたいな長老衆みたいなのが色々どうするか考えたり人事などやっていると思ってください。 名前は剛天明王っぽい感じの名前を考えました。今のところ一応ヨミに与えられた名前だという事にしてあります。 カラスもその設定を色々と考えてるうちに話が膨らんでる感じなので、 なにか書けたらいいかなと思っています。 |